主人とタイムマシンについて

 

「身内のブログを読むのが好き」だと主人が言う。義父のブログを探し出してこっそり読んでいたような人なので(なんならTwitterのアカウントまで捕捉していた)、まあそう言うのならそうなんだろうと思うのだけれど、曰く、「私とのことを楽しく赤裸々に書いて、つられて楽しくなりたい」とのことでわたしとしては本当にいいのか?泣いてやめてって言っても知らんぞ?という感じ。赤裸々、ねえ?

 

というわけで、リクエストにお答えして主人についての話をする。

わたしは常々もしタイムマシンがあったら、色んな年の頃の主人に会いに行くのになと思う。

義両親(めちゃめちゃ好き)に心から感謝していることの一つに、実家を出る主人に自分のアルバムを持たせてくれたことがある。2冊に渡って主人の成長を追うことが出来るのだけれど、どのページを開いても可愛い主人が出てきて本当に素晴らしい。わたしもいずれは、最終的に我が子のパートナーに見てもらうために我が子を激写していきたい。

そのアルバムを捲る度にわたしは、何故まだタイムマシンが発明されていないのだろうかとやきもきする。

 

主人がオギャアオギャアの頃に会いに行って、指をぎゅっと掴まれたい。生理的に微笑まれて生理的微笑であると認識した上で、ああ笑っている、ウフフと浮かれたいのだ。

 

小学生の頃に会えたなら。スターウォーズの話をして、ところどころ「違う、それはそうじゃない」と訂正を入れられたい。そしてわたしは、ごめんごめん、わたしは一回ずつしか見たことないんだよと弁明をする。するときっと小学生の主人は「しょうがないなあ」という顔をして一から教えてくれる、多分ね。

 

中学生の主人。最近新しいエピソードが追加された。木の板にはんだごてで焼き目をつけて絵を描く、あの、はんだごての技術を身につけるためにほとんどみんな一回はやるやつ。あれで中学生の主人は、新潮文庫ファウストの下巻を描いたらしい。

これだ。

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涙が出るほど愛おしい。中学生の主人。これめちゃめちゃかっこいいと思って、心鷲掴みにされたんだろうな。これしかない、と思ったのかな。すごくわかる。わかる、わかるよ。これは厨二病ごころをくすぐられるな?

つい最近、ふと思い出したとでも言うように主人はこのエピソードを話してくれた。「我ながら痛々しい」と笑いながら。わたしが、板だけに?と聞くと、もう笑ってなかったけど。

文庫にトレーシングペーパーを被せて、ゆっくりゆっくりなぞっていたんだろうか。もしそこにわたしがいたら、右手の小指側の側面の、鉛筆の炭で真っ黒になったのを、湿らせたハンカチでそっと拭ってあげたいと思うよ。

 

高校生の主人は、相当尖っていたらしい。頷ける。今ですらとてもひねくれてる人なので、そら(田舎の進学校にこんな頭の良い奴が閉じ込められてたら)そう(斜に構えたお子さんにもなる)よ、と思う。生意気な18歳の主人には、わたしがあなたの未来の奥さんなのよと教えたい。おそらく「は?」って言われる。そうしたら、その遠視と乱視の眼鏡を外して、綺麗なお鼻にくっつくくらいに顔を近づけて、楽しみにしててねと伝えたい。今のわたし達は楽しく愉快に面白おかしく暮らしているからね、だから楽しみに待っていてねと、そう言いたい。本当はもっとオトナのおねいさん的な誘惑をしたりなどもしたいんだけれど、やっぱりいたいけな未成年に手を出すのは憚られるので(妄想の中なんだけど)、誘惑するのは今の主人だけでいいやと思う。乞うご期待!と言い残してわたしは去っていく。きっと18歳の主人は、ポカンとしてわたしを見送る。長いタイムトラベルを終えたわたしは主人のもとに帰る。わたしより二つ年長の、フタエノキワミっぽくキスをしてくる主人のところに。(歳がバレる)

 

こんな感じでどうだろうか。主人よ。わたしと出会う前から、わたしの知らないところで、同じ時期に、主人は逞しくのらりくらりと生きていたんだというその事実に、当たり前なんだけど、こんなこと本当にあるんだとそういう気持ちになる。すごいね、ご主人。

 

支点を板に吊るしてギリギリ太るカレーセット🍛

おしまい。